ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日の前後になると、解説の記事や動画などが毎年更新されますね。
以前より人気は衰えたものの、下地の強さを改めて感じます。
それに伴ってボジョレー・ヌーヴォーの『本当の役割』についての記事も増え始めています。
でも個人的には、マイナスな表現で解説をしているなぁーって方も多くいます。
何が悲しいって、ソムリエやワインコーディネーターなどの資格を持つ人などがそういった記事や動画を配信していることです。
ってなわけで今回は基本に立ち返って。
シンプルに、客観的にボジョレー・ヌーヴォーの本来の役割を解説します。
ボジョレー・ヌーヴォーの簡単解説
まずは基本的な部分。
<ブドウ品種>
使われる品種は『ガメイ』です。
日本では一般ではあまり聞きなれない品種ですがフランスのパリ市民には昔から愛され親しまれている品種です。
<味わい>
ベリー系の爽やかな香り、渋味が少なくさっぱりとした味わいが特徴とされています。
渋みが少ないので一般的な赤ワインとは違い、冷やして飲むことがオススメです。
<日本での人気はいつから>
昭和後期から平成前半にかけてブームとなって一気に輸入量・消費量が増えました。
ちなみに日本への本格的な上陸当時は解禁日までは空港の税関を通過できない決まりでしたので、解禁日の未明に成田空港での乾杯イベントが盛り上がっていたりもしましたね。
<新酒ってボジョレーだけ?>
世界中にあります!
ただし、商業的にはボジョレー・ヌーヴォーが先駆者でもあり圧倒的に成功しています(特に日本で)。
他のヨーロッパ諸国でも新酒は作っていますし、南半球のワイン生産国の新酒は日本の初夏ぐらいから出回り始めます。
ボジョレー・ヌーヴォーの正体
世界的には11月の中旬に収穫祭が催されます。
なのでボジョレーではその年に取れたブドウで造るワインの新酒を収穫祭で飲んでブドウの出来を確認していました。現在ではワイン業者向けなんて側面もあります。
そして、その年のワイン造りの参考にすることで普通のワイン造りの設計を考えたり、ブドウ品種をブレンドする際の配合(いわゆるセパージュ)を判断していたりもするんです。
ただし、通常の製造過程を経ていては収穫祭などには間に合わないのでマセラシオン・カルボニックという製法を用います。
これは二酸化炭素を充満させ密閉したタンクにガメイを放り込んで色素抽出を促す製法です。
色素が効率よく抽出される反面、タンニンなどの渋味成分の溶出を抑えられることで、冒頭に書いたヌーヴォー独特の香味となるんですね。
つまりテイスティング目的に特化した製法だと言えるんですが、これを踏まえずに「ボジョレー・ヌーヴォーは不味い」「あれは本当のワインではない」という情報だけを発信している記事を見ると悲しくなります。
考えてみてくださいよ。
最大の輸出国である日本人にそっぽを向かれないように、上記の目的で作ったものを「美味しく」作り上げてくれている製造者の皆さんの弛まぬ努力を。。。
ボジョレー・ヌーヴォーの楽しみ方
楽しみ方はいたってシンプル!
ますは家の冷蔵庫で冷やして飲みましょう。
すっきりとした香りと味わいを楽しむことができます。
そういったことからも「お酒を引き立てる料理」ではなくて「料理を引き立てるお酒」というスタンスで良いと思います。
肩の力を抜いて、ボジョレー・ヌーヴォーの可愛らしい香りとすっきりとした味わいで口の中をリセットして食事を楽しむような使い方が私的にはあっていると思います。
また、北イタリアとかでは焼き栗と新酒を楽しむ習慣があるので、ボジョレー・ヌーヴォーでもお試しあれ。
他の方のブログ記事では焼き芋と合わせるなんてこともされていました。
しっかりとしたコクと味わいを持つ秋の食材をより楽しむためのボジョレー・ヌーヴォー、おススメです!
ボジョレー・ヌーヴォーのまとめ
ここまで書いて考えましたが、購入時の値段を考えると消費者がマイナスな意見を持ってしまうのも仕方ないかもしれません。
だって、安くて美味しいワインやコスパの高いワインが周りに溢れている時代だもんね。
30年前なら「世界で一番早く解禁」や「100年に1度の出来」でも魅力的に映っていたかもしれませんが、現在はサステナブルやSDGsなどの様々な要素も商品の重要な価値となる時代です。
ボジョレー・ヌーヴォーの正当な評価と価値を改めて整理しなければいけない時期に来ているのではないかなと思いました。
でも、ボジョレー・ヌーヴォーは変わらなくて良い。
変わるべきは私達『提供者』です。
提供者が変わることができれば、最終消費者の意識も必ず変わるはず。
なんて、難しいことを考えていたらお腹がすきました。
これから冷凍の牛丼とボジョレー・ヌーヴォーを飲んで寝ます。
かしこ。
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