今回はバレンタインに関しての問い合わせがありましたので、その回答として。
2月14日は世界各地で「愛(または恋人たち)の日」として祝われている、バレンタインデーですね。
日本では、女性が男性にチョコレートを贈る日として知られており、最近では男性から女性へプレゼントをするというケースも多く見受けられます。
また、お酒と一緒に楽しむためのチョコレートが登場するなど、楽しみ方は年々、多様化しています。
そこで今回は、お酒とチョコレートの深い関係をお話ししていきます。
この記事で分かること、
・意外と知らないチョコレートの歴史が分かる!
・世界のバレンタインデー文化の違いが分かる!
・お酒とチョコレートの美味しい関係が分かる !
・ますますバレンタインデーが楽しみになる !
それでは始めましょう!
チョコレートと発酵
実はチョコレートの原料であるカカオは味噌、醤油、チーズと同じ立派な発酵食品。
なんで発酵させる必要があるのかというと、目的は大きく分けて2つ。
・チョコレートにした時の香味成分の元を作る!
・カカオ豆を死滅させ、発芽をさせないため(貴重な旨味成分や栄養素を消費しないため)!
ふむ。
では、どのような発酵を行っているんでしょうか。
1.「アルコール発酵」
カカオパルプに含まれる糖分を天然の酵母が栄養にすることでアルコール発酵が行われます。
これによりパルプは徐々に分解されて、ずり落ち、カカオ豆の中に空気が入りこむようになります。
また、この時に副産物として「カカオ酒」液体が発生します。
現在ではチョコレートの原料を作る上での副産物ではありますが、3000年以上前から愛される聖なる液体でもあります。
当時は通貨として取引されていたカカオ。
そのカカオを造る際に流れ出る液体。さぞかし重宝されていたんでしょうね。
2.「乳酸発酵」と「酢酸発酵」
カカオパルプが分解されて、豆に酸素が入ることで始まります。
乳酸発酵を行うことで、豆の細胞組織を破壊してくれます。
次に、酢酸が豆にしみこむことでカカオパルプに含まれるタンパク質やアミノ酸が、ポリフェノールと反応して渋みを減らしてくれるんです。
結果、柔らかな酸味と渋みの少ないカカオとなっていくんですね。
そして、発酵が終わったものを時間と手間をかけて乾燥させると、チョコレート原料のカカオの完成です。
チョコレートと歴史
さて、チョコレートの歴史は飲み物としてスタートしました。
カカオを最初に南米からヨーロッパへ持ち込んだ国はスペインとされています。
記録は1544年に「マヤ人のケクチ族がスペインのフェリペ2世を訪問し、カカオを献上した」というもので、そこからヨーロッパの王族や貴族を中心に広まっていきます。
当時のチョコレートは、カカオを細かくすり潰した後に温めて液状化したところに砂糖、蜂蜜、シナモン、アニスやブラックペッパーなどで味を調えたもの。
ようは今のホットチョコレート(ココア)の原型です。
しかし、食感はザラザラとしている舌触りの悪い飲み物だったようです。
その原因は、カカオに含まれる大量の油分が、水分と混ざりにくいうえに、分離しやすい状態だったから。
さらに、前述の発酵による酸の香りも残っていたそうです。
そんなチョコレートは産業革命を経て、目覚ましい発展を遂げます!
目覚ましい発展、その1
<技術革新の全ての始まり>
まずは、ココアの名門『ヴァン・ホーテン』でお馴染みのヴァン・ホーテンファミリーです。
彼らはカカオ液(カカオマス)から油分であるココアバターを抽出する油圧式の圧搾機を開発し、カカオ豆に50%以上含まれていたココアバターを28%程度までに減らすことができるようになりました。
これにより、お湯に溶けやすいようになり、固形化したカカオマスを砕いて粉末状に加工できるようになりました。
ずばり、ココアパウダーの誕生ですね!
また、同時期にカカオ内の酸を中和させることで、発酵によって生成された酸味を減少させて飲みやすくすることにも成功させ、色調・風味・食感は大きく向上することとなりました。
この製法はダッチプロセスと呼ばれ、現在まで継承されている製法です。
目覚ましい発展、その2
<『飲む』チョコレートから『食べる』チョコレートへ>
イギリスのジョセフ・フライによって最初の固形チョコレートが完成しました。
作り方はとてもシンプルで、ココアパウダーと砂糖を混ぜたものにココアバターを加えたというもの。
ココアバターは常温で固形化する性質を持っているのため、『食べる』チョコレートの完成となります。
ちなみに『飲む』チョコレートが主流であった当時の固形チョコレートの名称は「EatingChocolate」。
まだまだ馴染みのうすい、新参者って感じがしますね。
目覚ましい発展、その3
<みんな大好きミルクチョコレート>
前述した固形チョコレートは、そのままでは食べにくいものでした。
この問題の打開したのがスイスのダニエル・ペーターです。
彼は食べやすくするためにミルクを混ぜようと考えましたが、この開発においての最大の難関は混ざりにくい油分と水分の乳化でした。
長い研究の末、ミルク内の水分を取り除いたミルクパウダーを使用することでついにミルクチョコレートの開発に成功します。
ちなみに、これには諸説あり、ダニエル・ペーターが一人で開発したという説や、アンリ・ネスレ(ネスレの創業者)との共同開発であった説などがあります。
目覚ましい発展、その4
ここまでで、
ココアパウダー → 固形チョコレート → ミルクチョコレート
と順調に発展を遂げてきましたが最後のピースとなるのが、この「なめらかさ」の開発です。
というのも、当時のチョコレートはまだ、今のチョコレートのと比べてザラザラと食感が良くなかったのです。
これを解決したのがスイスのルドルフ・リンツでした。
彼はチョコレート原料を加熱しながら長時間、強力に攪拌して内部の空気を抜き、徐々に液状化をさせる『コンチング(精錬)』という工程を確立させました。
これによってなめらかで美味しいチョコレートを作ることが可能となったんです。
こうして、カカオは苦い飲み物から甘い飲み物へ。
甘い飲み物から食べ物へ。
貴族の贅沢品から庶民の嗜好品へとその姿を変えていったんですね。
余談でありますが、チョコレート原料のカカオは奴隷によって生産されていた、だとか。
産業革命期の過酷な現場に身を置く、労働者の貴重な栄養源(キットカットの出現に繋がります)であったなど。
チョコのように黒くてほろ苦い過去があったことも、常においしく食べられる現在の私たちは忘れてはいけないですね。
チョコレートとバレンタインデー
次はそもそも『バレンタインデーとは。。。』というお話。
バレンタインデーの由来は古代ローマ時代にまでさかのぼります。
当時、皇帝の命で兵士の結婚が禁じられていましたが、これに反対して多くの兵士を結婚させた司祭がバレンタインでした。
そして反逆の罪で捕らわれたバレンタインは西暦270年の2月14日に死刑となってしまいます。
その後、バレンタインの殉教した2月14日はローマカトリック教会の祭日となりバレンタインデーと呼ばれるようになります。
さらに、司祭の死を悼む宗教的行事として始まったバレンタインデーですが、14世紀あたりから愛の告白やプロポーズの贈り物をする日へと代わり、宗教的儀式から大衆文化へと姿を変えて、現代へと続いてきているんです。
バレンタインデーの楽しみ方は世界各国で違いがあります。
欧米では「カップルの日」というスタイルで「男女どちらから」という決まりはなく、プレゼントや花束を贈りあったり、豪華なレストランで食事をして過ごすんだそうです。
その他に、フィンランドでは「友情の日」として親しまれており、バラやチューリップなどの花を贈りあったり、アメリカでは男性から女性へ愛を伝えるという形が多いようですね。
アジアに目を移すと、韓国では日本と同じように女性から男性へチョコレートを贈ります。
中国や台湾では男性が女性に高級品やペアアクセサリーなどをプレゼントしたり、食事をごちそうしたり、赤いバラの花を贈るそう。
さらに台湾ではバラの本数でメッセージに違いがあるそうですよ。
日本のバレンタインは、基本的には女性から男性にチョコレートを贈り、愛の告白をする日として知られています。
最近では男性から女性へ送るケースも多く見られますね。
この女性から男性へ「チョコレートを贈る」というバレンタインの風習は日本独自の文化で、1960年代後半から始まったと言われています。
それから、友人やお世話になっている人に贈る「義理チョコ」や「友チョコ」。
男性から女性へお返しする日の「ホワイトデー」も日本独自の文化なんですよ。
チョコレートとお酒
最近では、お菓子とお酒のペアリングやマリアージュといった楽しみ方を見かける機会が増えてきましたが、どうやって組み合わせれば良いのか難しいですよね?
基本的なお酒とチョコレートを合わせる際のポイントをこちら。
ポイント➀
濃厚なチョコレートには、それに負けないくらいの存在感を持ったお酒を合わせるのが大切です。
辛口すぎたり、スッキリしすぎているものは合わせにくいとされています。
ポイント➁
例えば、甘口のチョコレートには同じく甘口のお酒を合わせる味わいの「相乗効果」や、苦味のあるカカオ高配合のチョコレートに甘いお酒を合わせて味わいに「変化」を付けることでどちらも美味しく感じることが出来ちゃいますよ。
ポイント➂
『いつ・どこで楽しむもの』であるのかを考慮することは、全てのプレゼント選びの基本ですよね。
バレンタインであれば、せっかくなので二人で一緒に楽しめる素敵な組み合わせを選びたいですね。
それでは、おすすめのチョコレートとお酒の組み合わせの例を見てみましょ。
※その効果を保証するものではありませんので、参考として見てね。
チョコレートとお酒と相性と
○ワインと合わせる
ワインの中でもタンニン(ポリフェノール)が多く含み『渋み』が特徴の赤ワインには、カカオ使用量の多いダークチョコレートやビターチョコレートや“レーズン”の入ったチョコレートと好相性です。
白ワインであれば、濃厚な味わいで樽の香りをまとったものをミルクチョコなどと合わせてみるのがおすすめ。
○ウイスキーやブランデーと合わせる
ウイスキーやブランデーは隠し味としてチョコレートに使われていますよね。
これらのお酒は樽で熟成されるので、苦味・渋み・コクといった点がカカオの風味と通じるものがあります。
ナッツやオレンジピールの入ったチョコレートと合わせてみるのもおすすめです!
○ビールと合わせる
チョコレートブラウニーやアーモンドチョコレートにはスタウト(黒ビール)が好相性です。
特にブラウニーには、ナッツの香ばしさやサクッとした食感が黒ビールとマッチします。
他にはチョコレート味のビールなどもあるので、ビール好きの方は試してみてはいかがでしょうか?
○日本酒と合わせる
『生酛(きもと)』『山廃(やまはい)』と書かれたコクのある純米酒や、ドライフルーツやスパイスを思わせる香りを持つ熟成させた日本酒が好相性です!
他には、仕込み水の一部を日本酒にして「日本酒」で「日本酒」を仕込んだ貴醸酒(きじょうしゅ)もおすすめです。
琥珀の色調と濃醇な甘味がチョコレートとぴったりです。
まとめと注意点
ここまでの組み合わせに見られるように、魅力的な『お酒を使ったチョコレート』はいつもと違った楽しみ方の1つですよね。
もしかしたら、甘いものが苦手なアノ人にはこちらがお薦めかもしれません。
世界のお酒や、日本の焼酎や泡盛を使用した和酒チョコレートなどいろいろあるので楽しみは尽きませんな。
ただし!
これらのチョコレートはアルコールを含むことからで、体調がすぐれない時には食べないようにしたり、食べた後には車の運転を控えるようにするなどの注意も大事ですよ。
『持続可能』な飲酒方法。
意識していきましょうね。www
かしこ。
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